ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDS_国際的なコンクールの受賞者の男女差や人種差

この記事の元記事: http://smallpianokeyboards.org/competition-results/



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Competition Results - コンクールの結果


International piano competition results - 国際ピアノコンクールの結果


コンサートピアニストの多くは、ハイレベルなピアノコンクールでの成功を基礎としてキャリアをスタートさせます。
手の小さいピアニストが自分の手の大きさに合わせて曲目を選べるとはいえ、(アンサンブルで演奏する人を含む)演奏キャリアの成功を持続させている人たちは通常、広範囲にわたる曲目を演奏することが期待されています。

国際的な演奏キャリアを持続させたいと思っているピアニストが幅広い曲目での卓越性を実現するためには、10度に届く手のスパンを持つ必要があります。
Repertoire choice(曲目の選択)と、2011年7月にE・ブッカー(E. Booker)氏とR・ボイル(R. Boyle)氏によって書かれたAPPCA 会議(オーストラリア・ピアノ教育学会議)の論文をご参照ください。)
DS5.5®(7/8)鍵盤の効果とは、『平均的な』女性が手のスパンに関して『平均的な』男性の領域に組み込まれる、例えば、ロシア人作曲家の作品をはるかに高い割合の女性が演奏する機会が開かれるということです。

一流レベルのピアノ演奏では、多くのスポーツと全く同様に、非常に繊細なことが勝利者を他の人たちから区別します。
ピアニストが克服しなければならない技術的な障壁が多いほど、同じ能力を持っていても障壁(その中で手の大きさが明らかにそれ)がない人たちと比べて、不利な点が大きくなります。
例えばスツールの高さなど、演奏に悪影響を及ぼす可能性のある他の物理的要因は、昔からピアニストによって認識され、選択肢を提供することで対処されてきました。

ピアノの演奏は、(例えば多くのウィンタースポーツなどのように)技芸や技術的熟練の融合を必要とするスポーツと比較できます。
装備や衣類の品質や、パフォーマー固有のニーズに対するそれらの適合性は、最高レベルの試合で違いを生む可能性があります。彼(女)のスキーが特定の試合に関して短すぎたり長すぎたりすれば、国際競争のスキーヤーは誰でも不利な立場に置かれるでしょう。
一流のピアニストにとって演奏活動をめぐる競争は激しく、高いレベルの技術的熟練や音楽性は当然のことと見なされます。自分の手の大きさに最も適した楽器で演奏できるピアニストは、上級の曲目をより良く、より大きな安定感で演奏できる傾向にあります。

Gender and ethnic differences - 男女差と人種差


クリストファー・ドニソン(Christopher Donison)氏(1998年)は、大学では一般に(ピアノを専攻する女子学生が)男子学生の数を大幅に上回っていることを考えれば、上級レベルでの女性のピアノコンクールの受賞者の割合が比較的少ないことについてコメントしています。
過去半世紀にわたるいくつかの国際ピアノコンクールの受賞者を振り返ってみると、2つの例外を除いては、確かに受賞者の中で男性が女性の数を上回っています。これらのコンクールのほとんどに関して、コンクールの全ての年にわたって共に獲得された女性の受賞者の割合は、15%から25%の範囲です。ショパン国際コンクールでは女性がもっと好結果で、受賞者の39%を占めています。しかしながら、これらの各コンクールの優勝者を見ると、多くの場合で女性の割合がさらに少なくなっています。
受賞者の中で女性が男性の数を上回っている2つの例外は、バッハ国際コンクールとモーツァルト国際コンクール(17歳以上の年齢区分)です。これは、バッハやモーツァルトを演奏するときには、男性と女性がはるかに公平な競争条件にいる可能性が高いことを示唆しています。
表1をご参照ください。


すべての女性の優勝者の人種的背景を考慮すると、アジア系がほとんどいないのと同時に、およそ3分の1がロシアの出身者です。
バイオリンの国際コンクールの結果を精査すると、違う様相を見せています。女性と男性の受賞者は数の上で同程度であり、アジア人女性は強く表されています。

4年ごとに開催されるチャイコフスキー国際コンクールでは、ピアノとバイオリンの両方のコンクールが行われます。
ピアノ部門で最高賞(1位、または1位に賞が授与されなかった2位)を獲得した女性は1人だけです。しかしながら、バイオリン部門では7人の女性が優勝しており、そのうち6人は1980年代以来ずっと優勝しています。

これらの結果は、ピアニストが幅広い曲目にわたって一流レベルで競い、それによって演奏活動を開始するには、比較的大きな手のスパンが必要であるという主張を裏付けています。

バイオリンコンクールの結果では、同程度の性別格差は見られません。
スイスのローザンヌにある、名門小澤征爾アカデミーの生徒の構成に留意してください。
アカデミーは、世界中の一流の青年弦楽器奏者の中から選定し、弦楽四重奏団の最高レベルで演奏する用意をします。学生の間では、(アジア出身者を含む)男女間で非常に均等に分かれています。
http://www.ozawa-academy.ch/index.php/en/academy/

MTNA competition results
- MTNA(Music Teachers National Association - 全米音楽教師協会)コンクールの結果


MTNA(Music Teachers National Association)が主催する全米音楽コンクールが毎年開催されており、ジュニア(11〜14歳)、シニア(15〜18歳)、ヤングアーティスト(19〜26歳)の4つの年齢区分があります。
1963年以降の結果(表2を参照)を確認すると、ジュニア区分の優勝者の中では、女性が男性を上回り、シニア区分では男性が女性をわずかに上回っており、そして『ヤングアーティスト』の区分ではさらに圧倒的に(2倍)上回っています。ですが、MTNAの弦楽器コンクールの結果を見れば、『ジュニア』区分では僅かですが、全ての年齢層で女性の数が男性を上回っており、同様の年齢に伴う女性の減少は見られません。

英国EPTAピアノコンクールの結果では、ジュニアから一流レベルに上がるにつれて、どのように男性がピアノコンクールの受賞者一覧を次第に支配していくかという別の例を示しています。


Recording artists of the 20th century - 20世紀のレコーディング・アーティスト


フィリップス・レコード社は、20世紀最高のピアニストと判断されるものを盛り込んだCD一式を発売しています。
73人のピアニストが紹介されており、そのうち11人が女性です。これらのうち2人(ブルック(Brok)とレヴィーン(Lhevinne))は2台のピアノの協力関係の一員であり、残りの9人の大半はバロック音楽や古典派の曲目で最もよく知られています。
紹介された女性ピアニストは以下の通りです。

Martha Argerich - マルタ・アルゲリッチ
Lyubov Brok - リューボフ・ブルック
Ingrid Haebler - イングリッド・ヘブラー
Clara Haskil - クララ・ハスキル
Dame Myra Hess - マイラ・ヘス
Alicia de Larrocha - アリシア・デ・ラローチャ
Rosina Lhévinne - ロジーナ・レヴィーン
Maria João Pires - マリア・ジョアン・ピレシュ
Rosalyn Tureck - ロザリン・テューレック
Mitsuko Uchida - 内田 光子
Maria Yudina - マリヤ・ユーディナ

これらの観察記録は、手の大きさが小さいために、特にロマン派や20世紀の曲目の演奏において、多くの女性が一流レベルでピアノを演奏する潜在能力を十分に発揮できないことを立証しています。
広範な曲目を発表しなければならないそのような一流のコンクールに加えて、そういった特定のロマン派の作曲家に焦点を当てたコンクールでは、男性と女性の受賞者の比率はおよそ3か4対1です。
10度に対応するのに十分な大きさの手のスパンを持つ男性と女性の比率がほぼ6対1であることを考えると、女性は非常に好成績を挙げており、恐らく高等レベルのピアノ演奏の学習へ進む数が多いことを反映しています。

かの有名なスペインのピアニスト、アリシア・デ・ラローチャ(Alicia de Larrocha)は、手が小さかったと度々言われています。身長が小さい(140 cm、つまり4フィート7インチ)という事実にもかかわらず、彼女の手は女性としては比較的大きく、全盛期には10度届いていました。(1995年11月23日発行のニューヨーク・タイムズ紙とのインタビュー。)
ボイル、ボイル&ブッカー(Boyle, Boyle & Booker)による研究論文が、2015年のオーストラリア・ピアノ教育学会議(http://www.appca.com.au/proceedings/)で発表されており、大学生のグループ間での身長と手のスパンの間の関係を調査しています。その分析により、手のスパンに対する予測の判断材料として身長は比較的弱いことが分かりました。つまり、比較的スパンが大きくて背が低い人たちや、比較的スパンが小さくて背が高い人たちが存在します。
参照: Hand span versus height手幅と身長との比較

References - 参考文献


Booker, E., & Boyle, R.(ブッカー・E、& ボイル・R)(2011年)
Piano keyboards – one size does not fit all! Pianistic health for the next generation.(ピアノの鍵盤に誰にでも使える1つのサイズなどありません!次世代のピアノ演奏の健康。)
Proceedings of the 10th Australasian Piano Pedagogy Conference: Leading Notes to Effective Teaching: Resolving the past - Exploring the future.(第10回オーストラレーシア・ピアノ教育学会議の議事録: 効果的な教育への導音: 過去を解決し、未来を探究する。)
Charles Sturt University(チャールズ・スタート大学), Wagga Wagga, 4-8 July 2011.(ウォガウォガ、2011年7月4日~8日。)
http://www.appca.com.au/proceedings/


Boyle, R., Boyle, R. & Booker, E.(ボイル・R、ボイル・R、& ブッカー・E)(2015年)
Pianist Hand Spans: Gender and Ethnic Differences and Implications for Piano Playing.(ピアニストの手のスパン: ピアノの演奏に対する性別や人種の差と影響。)
Proceedings of the 12th Australasian Piano Pedagogy Conference, Beyond the Black and White, Melbourne, July 2015.(第12回オーストラレーシア・ピアノ教育学会議の議事録、白黒(二者択一)の域を越えて、メルボルン、2015年7月。)
https://www.appca.com.au/proceedings/


Donison, C.(ドニソン・C)(1998年)
Small hands? Try this keyboard, you’ll like it.(手が小さい?この鍵盤を試してみてください。それを気に入るでしょう。)
Piano & Keyboard, July-August, 41-43.(ピアノ・アンド・キーボード、7月~8月、41-43。)
http://chrisdonison.com/keyboard.html


http://www.nytimes.com/1995/11/23/garden/at-home-with-alicia-de-larrocha-a-pianissimo-star.html

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