PIANISTS FOR ALTERNATIVELY SIZED KEYBOARDS_国際ピアノコンクールの入賞者の男女差と人種差

この記事の元記事: https://paskpiano.org/gender-differences-in-major-competitions-and-performing-careers/



PIANISTS FOR ALTERNATIVELY SIZED KEYBOARDS


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If everyone plays the same size,
most are playing the wrong size!

みんなで同じサイズを弾くと、
ほとんどの人が不適切なサイズを弾いています!


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Why we need narrower keys: the evidence
細幅鍵盤が必要な理由:その根拠


Gender differences in major competitions and performing careers
主要なコンクールや演奏キャリアにおける男女差

多くのスポーツがそうであるように、一流レベルのピアノ演奏では非常に繊細なことが勝利者とそれ以外の人を区別します。
ピアニストが克服しなければならない技術的な障壁が多ければ多いほど、同じ能力を持ちながらその障壁の無い他のピアニストと比較した場合の不利な点は大きくなり、手の大きさがそのひとつであることは明らかです。
例えばスツールの高さなど、演奏に悪影響を及ぼす可能性のある他の物理的要因は、長い間ピアニストによって認識されており、選択肢を提供することで対処されてきました。

ピアノの演奏は、芸術的スキルと技術的スキルの融合を必要とするスポーツ(多くのウィンタースポーツなど)に例えることができます。
最高レベルの競技においては、用具や衣服の質、そしてそれらがその選手固有のニーズに適合しているかどうかが違いを生みます。国際大会に出場するスキーヤーは、その種目に対してスキー板が短すぎたり長すぎたりすれば不利になるでしょう。
一流のピアニストにとって、演奏家としてのキャリアをめぐる競争は熾烈であり、高いレベルの技術力と音楽性は当然のこととされています。自身の手の大きさに最も適した楽器で演奏できるピアニストは、高度な曲目をより良く、より大きな安定感で演奏できる可能性が高くなります。

コンサートピアニストの多くは、ハイレベルなピアノコンクールでの成功を基にキャリアをスタートさせます。
手の小さいピアニストは自身の手の大きさに合わせて曲目を選べるとはいえ、演奏家としてのキャリアの成功を持続させている(アンサンブルで演奏するピアニストを含む)ピアニストは通常、広範囲にわたる曲目を演奏することが求められます。


Gender differences in major competitions and performing careers
主要なコンクールや演奏キャリアにおける男女差


高等教育機関やピアノ指導者の間では、女性よりも成人男性の方が少ないのが通常ですが、主要な国際ピアノコンクールの入賞者リストやプロのピアニストの地位では成人男性が上位を占めています。

過去100年間の主要なパフォーミング・アーティストやレコーディング・アーティストは、圧倒的に男性が多数でした。最もよく知られている女性アーティストの多くは、主にバロックや前古典派の曲目に焦点を絞ってきました。
バイオリンコンクールの結果を見ると、同じパターンの男女差は見られません。バイオリンには様々なサイズやデザインのバリエーションがあり、その結果として手のスパンに関連した不利益を示す証拠が少ない楽器です。子供たちは通常、バイオリンを小型版で弾き始めるという利点があります。

スイスのローザンヌにある、名門小澤征爾アカデミーの生徒の構成に注目してください。
同アカデミーでは、世界中の優秀な青年弦楽器奏者の中から選抜し、弦楽四重奏団で最高レベルの演奏ができるよう養成しています。学生の男女比は(アジア系も含めて)ほぼ均等に分かれています。
https://ozawa-academy.ch/en/homepage/

2017年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの準決勝進出者



International piano competitions - gender and ethnic differences
国際ピアノコンクール - 男女差と人種差


クリストファー・ドニソン(Christopher Donison)氏(1998年)は、大学では一般的に女子学生が男子学生の数を大幅に上回っていることを考えると、上級レベルでの女性のピアノコンクールの入賞者の割合が比較的少ないことについてコメントしています。
過去半世紀にわたるいくつかの国際ピアノコンクールの入賞者を振り返ってみると、2つの例外を除けば、確かに男性の数が女性を上回っています。これらのコンクールのほとんどにおいて、すべてのコンクールの年を合わせても女性入賞者の割合は14%から25%の範囲です。ショパン国際コンクールでは女性の活躍が目立ち、入賞者の36%を占めています。しかしながら各コンクールの優勝者を見ると、多くの場合で女性の割合がさらに縮小しています。近年になってもこの男女の不均衡に改善の兆しは見られません。

入賞者の中で女性の数が男性を上回っている2つの例外は、バッハ国際コンクールとモーツァルト国際コンクール(17歳以上の年齢部門)です。このことは、バッハやモーツァルトを演奏する場合、男女がはるかに公平な競争条件にいる可能性が高いことを示唆しています。表1をご参照ください。

女性の優勝者の人種的背景を考慮すると、ロシアまたは旧ソ連諸国の出身者が多く、アジア系はほとんど居ません。
国際的なバイオリンコンクールの結果をざっと見ると、これとは違う状況が見えてきます。女性入賞者と男性入賞者の数は同程度で、アジア系女性の割合が多くなっています。

4年ごとに開催されるチャイコフスキー国際コンクールでは、ピアノとバイオリンの両方のコンクールが行われます。
ピアノ部門で最高賞(1位、または1位に賞が授与されなかった2位)を獲得した女性は1人だけです。しかしながら、バイオリン部門では8人の女性が優勝しており、そのうち7人は1980年代以来ずっと優勝しています。

これらの結果は、ピアニストが幅広い曲目において一流レベルで競い合い、ひいては演奏家としてのキャリアを開始させるためには、比較的大きな手のスパンが必要であるという主張を裏付けています。





上記の表は、ヴァルキー・リバー(Valky River)氏によってPASKのために制作されたものです。


男女のバランスが時間とともに改善されてきたのだろうと考えるのはもっともなことです。ですが、1960年代までの各10年間の全入賞者に占める女性の割合を見ると、まったく改善されていないはいません!(バッハとモーツァルトを除き、上記のすべてのコンクールのデータが含まれています。)



MTNA NATIONAL COMPETITION RESULTS
MTNA全米コンクールの結果


MTNA(Music Teachers National Association - 全米音楽指導者協会)が主催する全米音楽コンクールが毎年開催されており、ジュニア(11〜14歳)、シニア(15〜18歳)、ヤングアーティスト(19〜26歳)の4つの年齢区分があります。
1963年以降の結果(表2を参照)を確認すると、ジュニア区分の優勝者の中では、女性が男性を上回り、シニア区分では男性が女性をわずかに上回っており、そして『ヤングアーティスト』の区分ではさらに圧倒的に(2倍)上回っています。ですが、MTNAの弦楽器コンクールの結果を見れば、『ジュニア』区分では僅かですが、全ての年齢層で女性の数が男性を上回っており、同様の年齢に伴う女性の減少は見られません。
以下のグラフがそれを非常にはっきりと示しています。

英国EPTA(The European Piano Teachers Association - 欧州ピアノ指導者協会)全英ピアノコンクールの結果では、ジュニアから一流レベルに上がるにつれて、どのように男性がピアノコンクールの受賞者一覧を次第に支配していくかという別の例を示しています。


MTNA入賞者:1963/64年~2022/23年



Recording artists of the 20th century
20世紀のレコーディング・アーティスト


フィリップス・レコード社は、20世紀最高のピアニストと判断されるものを盛り込んだCD一式を発売しています。
73人のピアニストが紹介されており、そのうち11名が女性です。そのうち2名(ブルック(Brok)とレヴィーン(Lhevinne))は2台のピアノのパートナーシップを組んでおり、残りの9名の大半はバロック音楽や古典派の曲目で最もよく知られています。
取り上げられた女性ピアニストは以下の通りです。

Martha Argerich - マルタ・アルゲリッチ
Lyubov Brok - リューボフ・ブルック
Ingrid Haebler - イングリッド・ヘブラー
Clara Haskil - クララ・ハスキル
Dame Myra Hess - マイラ・ヘス
Alicia de Larrocha - アリシア・デ・ラローチャ
Rosina Lhévinne - ロジーナ・レヴィーン
Maria João Pires - マリア・ジョアン・ピレシュ
Rosalyn Tureck - ロザリン・テューレック
Mitsuko Uchida - 内田 光子
Maria Yudina - マリヤ・ユーディナ

これらの観察記録は、手の大きさが小さいために、多くの女性が一流レベルでのピアノの演奏、特にロマン派や20世紀の曲目の演奏において、その潜在能力を十分に発揮できないという主張を裏付けるものです。
広範な曲目を発表しなければならない一流のコンクールに加え、特定のロマン派の作曲家に焦点を当てたコンクールでは、入賞者の男女比はおよそ3か4対1です。
10度を弾くのに十分な手の大きさを持つ男性と女性の割合がほぼ6対1であることを考えると女性の活躍は目覚ましく、恐らく高等レベルのピアノ演奏の学習へ進む数が多いことを反映しています。

かの有名なスペインのピアニスト、アリシア・デ・ラローチャ(Alicia de Larrocha)は、手が小さかったと度々言われています。身長は 140 cm(即ち4フィート7インチ)と小柄でしたが、女性としては比較的手が大きく、全盛期には10度届いていたほどでした。(1995年11月23日付ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビュー。)
2015年のオーストラリア・ピアノ教育学会(http://www.appca.com.au/proceedings/)で発表されたボイル、ボイル&ブッカー(Boyle, Boyle & Booker)による近年の研究論文では、大学生のグループ間での身長と手のスパンの間の関係が調査されています。分析の結果、身長は手のスパンを予測する因子としては比較的弱いことが判明しました。つまり、背が低くても手のスパンが比較的大きい人と、背が高くても手のスパンが比較的小さい人がいるということです。
参照: Hand span versus height手のスパンと身長との比較


References
参考文献



Booker, E., & Boyle, R.(ブッカー・E、& ボイル・R)(2011年)
Piano keyboards – one size does not fit all! Pianistic health for the next generation.(ピアノの鍵盤に誰にでも使える1つのサイズなどありません!次世代のピアノ演奏の健康。)
Proceedings of the 10th Australasian Piano Pedagogy Conference: Leading Notes to Effective Teaching: Resolving the past - Exploring the future.(第10回オーストラレーシア・ピアノ教育学会議の議事録: 効果的な教育への導音: 過去を解決し、未来を探究する。)
Charles Sturt University(チャールズ・スタート大学), Wagga Wagga, 4-8 July 2011.(ウォガウォガ、2011年7月4日~8日。)
http://www.appca.com.au/proceedings/


Boyle, R., Boyle, R. & Booker, E.(ボイル, R.、ボイル, R.、& ブッカー, E.)(2015年)
Pianist Hand Spans: Gender and Ethnic Differences and Implications for Piano Playing.(ピアニストの手のスパン: ピアノの演奏に対する男女差や人種差および影響。)
Proceedings of the 12th Australasian Piano Pedagogy Conference, Beyond the Black and White, Melbourne, July 2015.(第12回オーストラレーシア・ピアノ教育学会議の議事録、白黒(二者択一)の域を越えて、メルボルン、2015年7月。)
https://www.appca.com.au/proceedings/


Donison, C.(ドニソン・C)(1998年)
Small hands? Try this keyboard, you'll like it.(手が小さい?この鍵盤を試してみてください。それを気に入るでしょう。)
Piano & Keyboard, July-August(ピアノ・アンド・キーボード、7月~8月), 41-43.
http://chrisdonison.com/keyboard.html


http://www.nytimes.com/1995/11/23/garden/at-home-with-alicia-de-larrocha-a-pianissimo-star.html



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