ALTERNATIVELY SIZED PIANO KEYBOARDS_手の大きさと演奏の出来栄えとの関連性

この記事の元記事: http://smallpianokeyboards.org/hand-size-as-a-risk-factor-2/



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Performance quality - 演奏の出来栄え


Performance quality - 演奏の出来栄え


ピアノの演奏の出来栄えという側面を直接調査し、これが手のスパンとどのように関連するかを検討した研究はほとんどありません。
1つの研究(リー(Lee)、1990年)では、手の人間工学的変数が演奏の出来栄えの程度(動的および時間的均一性)と相関していないことを発見しています。しかしながら、その選択されている抜粋(単純な5本指の練習とアルペジオ)は、幅広い伸びや跳躍を含んでいなかったため、この指のスパンに関する関連性の欠如は恐らく驚くに値しません。
仮にそうであるとしても、音楽の名士は手が小さくても、バッハやモーツァルトなどのバロック音楽や初期古典派の曲目を演奏する場合は必然的に『手に収まる』傾向があるため、女性ピアニストが極めて不利な条件に置かれているように思えます。
Competition Results (コンクールの結果)をご参照ください。)

具体的に手の大きさに関するものではありませんが、Goebl&Palmer(ゲーブル&パーマー)(2013年)の論文は、手首・手・指の動きの効率と演奏の出来栄えとの因果関係に関する確かな証拠をもたらしています。彼らは、タイミングの正確性と精度、音の強さの観点から出来栄えを測定しました。
手の小さいピアニストは、手の大きいピアニストと比較して、手や手首の動きがはるかに大きく、音符に到達するために飛び越えたり傾いたりする動きが多くなります。動きの減少は、ピアニストが自分の手の大きさともっと相性の良い鍵盤に移行することですぐに感じることができます。

前世紀初頭のオットー・オルトマン(Otto Ortmann)の詳細な研究は、『手の小さい』ピアニストは多くの点でハンディキャップを負っている考えを裏付けています。
Ergonomic and biomechanical evidence(人間工学的および生体力学的証拠)をご参照ください。

ピアニストが自分の手に最適な鍵盤を弾けるようになると、演奏の出来栄えが向上したという非常に強力な事例証拠が存在します。この証拠は、サイズの選べる鍵盤を経験したことのあるピアニストの増加に由来します。
Pianist Feedback(ピアニストの評価)をご参照ください。

19世紀の作曲家、カール・マリア・フォン・ウェーバー(Carl Maria von Weber)の、能力に関するこの説明から、幅の狭い鍵盤と組み合わせて範囲が広く届くことの利点に関するその他の事例証拠がもたらされています。

『当時の偉大な管弦楽作曲家の1人であるウェーバーは、ピアノの新しい音色の可能性、特に彼が好んだウィーンの楽器(ブロードマン)のことも知っていました。これは現代の楽器よりも軽く、鍵盤は狭く、オクターブのスパンは現代の16.5 cmに対して15.9 cmでした。さらに、彫刻には、ウェーバーの指が長く、人差し指の中央の関節に届くような非常に細長い親指であったことが示されています。これにより、彼は10度をカバーする四部の和音を難なく演奏し、驚異的な跳躍進行とピアノ小協奏曲のオクターブグリッサンドを自ら考案することが可能でした。ベネディクトがそれを次で説明いているとおりです。‘非常に手が大きいという強みを持ち、オクターブと同じ容易さで10度を演奏できるウェーバーは、鳴り響きについて最も驚くべき効果を生み出し、ルーベンシュタインのような、繊細さや深い表現が要求されるほとんど声のような音質を引き出す力に恵まれていました。’』
(オックスフォード大学出版局、1980年)

References - 参考文献


Goebl, W. & Palmer, C.F.(ゲーブル・W、& パーマー・C・F)(2013年)
Temporal control and hand movement efficiency in skilled music performance.(熟練した音楽演奏における時間的制御と手の動きの効率。)
PLOS ONE、8 (1)。
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0050901


Lee, S-H.(リー・S-H)(1990年)
Pianists’ hand ergonomics and touch control.(ピアニストの手の人間工学とタッチのコントロール)
Medical Problems of Performing Artists(アーティストの医学的問題), 5 (2), 72-78.
https://www.sciandmed.com/mppa/journalviewer.aspx?issue=1136&article=1369&action=3&search=true#abstract


MacRitchie, J.(マクリッチ・J)(2015年)
The art and science behind piano touch: A review connecting multi-disciplinary literature.(ピアノ・タッチの背後にある芸術と科学: 多くの専門分野にわたる文献をつなぐ再調査)
Musicae Scientiae(ムジケ・スキエンティアエ(音楽の認知科学のためのヨーロッパの学会誌)), 19 (2), 171-190.
http://msx.sagepub.com/content/19/2/171.abstract


Ortmann, O.(オルトマン・O)(1929年)
The Physiological Mechanics of Piano Technique.(ピアノ・テクニックの生理学的機構。)
Kegan Paul, Trench, Trubner & Co., London, and E.P. Dutton & Co., Inc., New York.(ケガン・ポール、トレンチ、トリューブナー社、ロンドン、およびE・P・ダットン社、ニューヨーク。)
https://www.scribd.com/doc/78826778/Otto-Ortmann-The-Physiological-Mechanics-of-Piano-Technique-1929


Oxford University Press(オックスフォード大学出版局)(1980年)
The New Grove Dictionary of Music and Musicians(ニューグローヴ世界音楽大事典) Vol 20, pp. 250-251, London(ロンドン).
https://global.oup.com/academic/product/the-new-grove-dictionary-of-music-and-musicians-9780195170672?cc=jp&lang=en&

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